研究概要

RESEARCH 食虫植物の進化(2)食虫植物の消化酵素の起源と進化

(コロラド大学・福島健児学振海外特別研究員との共同研究、大学院生募集中

異なる系統で食虫化したオーストラリア産の袋ユキノシタ(フクロユキノシタ科、カタバミ目)、東南アジア産のヒョウタンウツボカズラ(ウツボカズラ科、ナデシコ目)、オーストラリア産のアデレーモウセンゴケ(モウセンゴケ科、ナデシコ目)、北米産のムラサキヘイシソウ(ヘイシソウ科、ツツジ目)を材料に(下記のリンク内の図4)、消化液中に分泌されるタンパク質の解析を行いました。その結果、非食虫植物との比較から、同じような酵素活性を持つ複数の遺伝子のうち、特定の遺伝子が系統の異なった食虫植物で繰り返し消化酵素として進化したことがわかりました。そして、この特定の遺伝子は耐病性遺伝子の一つだと推定されました。このことは、食虫植物に進化するには同じような遺伝子を用いて進化した、即ち、進化には限られた道筋しか無かったことがわかりました。さらに、消化酵素遺伝子はおそらく消化液の中で機能できるように互いに似たように進化していることもわかりました。
詳しくは下記のページを参照ください。
http://www.nibb.ac.jp/pressroom/news/2017/02/07.html

 

Fukushima, K., Fang, X., Alvarez-Ponce, D., Cai, H., Carretero-Paulet, L., Chen, C., Chang, T.-H., Farr, K.M., Fujita, T., Hiwatashi, Y., Hoshi, Y., Imai, T., Kasahara, M., Librado, P., Mao, L., Mori, H., Nishiyama, T., Nozawa, M., Pálfalvi, G., Pollard, S.T., Rozas, J., Sánchez-Gracia, A., Sankoff, D., Shibata, T.F., Shigenobu, S., Sumikawa, N., Uzawa, T., Xie, M., Zheng, C., Pollock, D.D., Albert, V.A., Li, S., and Hasebe, M. 2017.
Genome of pitcher plant Cephalotus reveals genetic changes associated with carnivory. Nat. Ecol. Evol. 1: 0059, doi:10.1038/s41559-016-0059